センターの機能

研究機能

トラウマ・PTSDなど「こころのケア」に関する実践的研究を行っています。

研究部門

第1部門 災害、事故等、同時に一つの出来事に遭遇した集団を対象に、トラウマ・PTSDが与える影響及びその対応策について研究しています。
第2部門 災害、事故、犯罪被害等、単発的な出来事に遭遇した個人を対象に、トラウマ・PTSDの治療法や対処法について研究しています。
第3部門 児童虐待、DV等、反復性のある出来事に遭遇した個人を対象に、トラウマ・PTSDの治療法や対処法について研究しています。
第4部門 様々なストレスによって生ずる精神疾患の予防等について研究しています。

研究スタッフ

精神科医や臨床心理士等の研究員が「こころのケア」に関する実践的研究を行っています。

第1部門 加藤 寛
第1部門 亀岡 智美
第1部門 田中 英三郎(主任研究員:常勤)
福井 貴子(主任研究員:非常勤)
第2部門 鈴木 逸子(主任研究員:常勤)
第3部門 山本 沙弥香(主任研究員:非常勤)
大塚 美菜子(主任研究員:非常勤)
第4部門 大澤 智子(研究主幹:常勤)

研究テーマ

年度完結の「短期研究」と、3年程度の研究期間を設定し長期的な視点に立って行う「長期研究」の2本立てで調査研究を進めています。

平成28(2016)年度  詳細は「研究テーマ」をクリックしてください。(PDFファイルです)
  研究テーマ 概 要



災害後の地域精神保健活動への中長期支援のあり方についての研究 阪神淡路大震災以降、大規模災害後には中長期支援を担う機関として『こころのケアセンター』が設置される流れがある。公表される機会は少ないが、新設機関が活動を行うにあたり、職員は多くの課題を抱え、それを打開するための工夫や努力を行っていると考えられる。急性期支援に比べ、中長期支援はその望ましいあり方がはっきり示されていない。本研究では東日本大震災を機に設置された『こころのケアセンター』に勤務する職員20 名を対象として、直面してきた様々な課題やその対応について、半構造化面接を行った。その証言を分析し、中長期支援の現状や望ましいあり方を提示した。
日本における複雑性悲嘆の現状分析に関する研究 複雑性悲嘆の疫学、診断、予後、治療法等に関する既存の情報の整理をするため、複雑性悲嘆、持続性複雑性死別障害、外傷性悲嘆等をキーワードとした文献レビューを実施した。また、日本における複雑性悲嘆の臨床的特徴を明らかにするため、既存の事例報告のデータを質的分析手法により統合した。
発達障害児者におけるトラウマ臨床の実態についての現状と課題についての研究 発達障害児者が呈するトラウマ関連の症状と介入プログラムおよび介入効果を整理し、実態の把握と課題の検討を図るため、文献の抽出、文献の記述的レビューを行うとともに、支援者へのインタビュー調査としてトラウマを抱える発達障害児者への支援に関わる医療従事者(医師、臨床心理士)に支援の現状について半構造化面接を実施し、発達障害児者の抱えるトラウマに対する支援の現状と課題を考察した。



大規模災害が子どもの心に与える影響のアセスメントシステムに関する研究 大規模災害は被災者全ての心に甚大な影響を与えるが、なかでも子どもは特別な配慮が必要であると考えられ、トラウマ体験を有する子どもに利用可能なアセスメントツールのレビューを行い、その特徴(長所/ 短所)を明らかにするとともに、日本で不足している子どものPTSD 診断面接の1 つであるCAPS-5 - CA の標準化作業を行った。また、この研究により、まとめられたアセスメントシステムを子どものこころのケアに携わる専門家に広く普及していく。
大規模交通災害が心身の健康に及ぼす長期的な影響に関する研究 JR 福知山線脱線事故の負傷者における長期的な心身への影響を把握し、負傷者への中・長期的な支援のあり方を検討するため、本年度はJR 福知山線脱線事故の負傷者で兵庫県こころのケアセンター付属診療所を受診した患者の診療録調査を行い、診療録から、患者の基本属性、症状の経過、心理療法や薬物療法等の必要な情報を収集しまとめた。そして、負傷者を対象とした次年度以降の調査方法と調査内容について検討を行った。
労働者の職業性ストレス、特にハラスメント行為が心身の健康に与える影響の検討 労働者の精神健康に影響する要因として、職場のハラスメント行為がどのように労働者の精神健康・身体健康に影響を及ぼすか、労働者の法定健康診断とストレスチェックのデータをもとにコホート調査を行うこととした。今年度は、職場のハラスメント行為を聴取するための質問紙の作成及び標準化作業を行った。また、作成した質問紙をデータセットに組みこみ、次年度以降のコホートのベースラインデータ収集のための準備を行った。今後2 年かけてデータを収集する予定である。
災害救援組織における惨事ストレスおよびメンタルヘルス対策のこれまでとこれから 阪神・淡路大震災で災害救助者の惨事ストレスが社会的認知を得てから、20 年が経過し、各組織がガイドラインの策定、研修の提供等の対策を講じてきた。設立当初から当センターにおいても年に数回、災害救援者を対象にした該当研修を行っているが、各組織における理解、準備、対策には温度差がある。本研究では、現状のニーズに即した包括的な惨事ストレス・メンタルヘルス対策を提案することを目的に、長期研究(3 年)の1 年目である本年度は、消防、海上保安、警察、自衛隊において、この20 年で取り組まれてきた惨事ストレス・メンタルヘルス対策を概観した。

*長期研究の研究期間は平成28年度から平成30年度とする。

平成27(2015)年度  詳細は「研究テーマ」をクリックしてください。(PDFファイルです)
  研究テーマ 概 要



災害時のこころのケア活動を有機的に実施するためのDPAT研修カリキュラムのあり方についての研究 「ひょうごDPAT」では、即戦力となるDPATを養成し、関係機関と連携した有機的な活動の基盤形成を進めていくために、より効果的な研修方法を確立する必要がある。兵庫県の持つ経験と全国のエキスパート(専門家)の意見を踏まえた、DPAT研修モデルの提案を目的として、災害精神医療・保健分野における専門家を対象に、DPATに必要な力とは何か、研修はどうあるべきかについて調査し、DPAT研修に関して一定のコンセンサスを得た形を示す。
子どもの心的外傷性悲嘆に関する効果的な啓発ツールについての研究 米国国立子どものトラウマティックストレス・ネットワーク(National Child Traumatic Stress Network, NCTSN)や、TF-CBT(子どものトラウマへの第一選択治療となるトラウマに焦点化した認知行動療法)のオンライン・トレーニングのためのホームページであるTF-CBT webを中心に、子どもの心的外傷性悲嘆に関する教育・啓発ツールを文献的に検索し、その中から、わが国の文化や嗜好等に沿ったツールを抽出し、専門家グループで比較検討する。その上で、使用のしやすさ、内容の洗練度などを吟味した上で、日本語翻訳版を作成する。
労働者の職場ストレスと精神健康の関連-ハラスメント行為が被害者及び職場環境に与える影響の検討- これまで我が国においても、ハラスメント行為が労働者の精神健康に与える影響や発生率などの実態調査はなされてきたが、職場でのハラスメント発生のプロセスや発生時の対応、予防策が職場でどのように行われているかなど支援に関する報告は限定的である。そこで、職場のハラスメント行為がどのように起こり、どのような対応・予防策が行われているのかプロセスに焦点をあて検討する。



阪神・淡路大震災が被災者のこころの健康にもたらした長期的な影響に関する研究 阪神・淡路大震災被災者のPTSDを含む精神障害の状況、援助要請、生活への影響など、被災の長期的な影響の実態を明らかにすることを目的とする。
東日本大震災の復興期の支援に関する研究 災害復興期のこころのケアに関連する医療保健福祉分野での施策を、阪神・淡路大震災、新潟中越地震、東日本大震災を中心に比較検討する。本研究を通して、現在進行中の東日本大震災や、近い将来予想される大災害における復興期に準備すべき体制について検討する。
子どものトラウマの標準的な評価方法についての研究 子どものトラウマ関連障害を適切に評価することは、治療方策を検討する上でも非常に重要なことである。本研究では、当センターですでに翻訳済みの、DSM-Ⅳ版UCLA外傷後ストレス障害インデックスの信頼性・妥当性を検証し、有機的な使用に向けての普及啓発を目指す。
人命救助に係る災害救援組織のハラスメントに関する調査研究 昨今、災害救援組織においても、職員の教育や通常業務での言動がハラスメントとされ、問題視されるようになってきたものの、職業文化を背景とした課題も多い。本研究では、人命救助に係る災害救援組織におけるハラスメントの実態、その影響を見極め、効果的な予防・介入のための研修プログラムの構築を目的とする

*長期研究の研究期間は平成25年度から平成27年度とする。

平成26(2014)年度  詳細は「研究テーマ」をクリックしてください。(PDFファイルです)
  研究テーマ 概 要



災害時こころのケア活動に関する包括的検討と今後の展望に関する研究 本研究では、大規模災害後のこころのケア活動を効果的に行うため、現在まで行われてきた支援実績から今後必要な仕組みや課題を抽出し検討した。また厚生労働省から出された「災害派遣精神医療チーム整備事業実施要綱」に基づき、兵庫県DPAT運用のための基礎的資料としてDPATマニュアルを作成し、DPATに登録した構成員への研修を実施した。
自殺未遂者家族への支援の重要性と課題 自殺未遂者への対策は自殺予防における重要な課題であり、自殺未遂者支援で掲げられる重要事項の一つに家族支援がある。自殺未遂者の家族支援は、再度の自殺企図を予防するといった視点からだけでなく、家族の精神的な安定のためにも必要である。本研究では、自殺未遂者家族支援の現状と課題について検討するために、文献レビューを行った。
職場の実態把握(ストレスチェック)を基にした職場改善プログラムの試み 労働者の精神健康上の問題による離職・休職は大きな社会問題となっている。特に、精神健康に影響を与える要因として近年問題となっているパワーハラスメントに焦点をあてた調査を行い、被害者の精神健康への影響の程度、労働生産性への影響、発生要因として組織要因の検討を行った。



阪神・淡路大震災が被災者のこころの健康にもたらした長期的な影響に関する研究 災害に関連した長期的なこころの問題に関しての知見がいまだ十分ではない。本年度は、当センター利用者(利用終了者を含む)の中で、阪神・淡路大震災の被災者を抽出して、診療記録の調査を行った。また精神科受診歴のない被災者に対して質的面接を実施して、阪神・淡路大震災20年後の現在の心理状態および過去20年間の心理状態の回顧的評価を行った。
東日本大震災の復興期の支援に関する研究 本研究では、東日本大震災からの復興期に生活支援相談員等が抱える住民支援に際しての課題や支援に向けたニーズを探索的に検討した上で、住民が抱える不安や自殺念慮への対応等の支援者向けの研修を実施し、今後の生活支援相談員等への支援のあり方を検討した。
子どものトラウマの標準的な評価方法についての研究 本研究は、子どものトラウマ体験を同定し、外傷症状とPTSD症状を評価することが可能であるDSM-5版UCLA外傷後ストレス障害インデックスの信頼性と妥当性を検証することを目的とし、A県下の子ども家庭センターの協力を得て80名弱の児童・青年を対象にデータ収集および解析を行った。
人命救助に係る災害救援組織のハラスメントに関する調査研究 本年度は、西日本の4組織に所属する消防職員を対象に調査を行った。ハラスメント関連の研修の実施状況、ハラスメントの認識度合い、心身の健康への影響などについて実態を明らかにした。この結果を基に、次年度は予防プログラムを開発する予定である。

*長期研究の研究期間は平成25年度から平成27年度とする。

平成25(2013)年度  詳細は「研究テーマ」をクリックしてください。(PDFファイルです)
  研究テーマ 概 要



被災地で活動する精神保健専門家への支援に関する研究 災害復興期に精神的問題が遷延化した当事者に直接関わる家族及び支援者に焦点をあて、家族心理教育プログラムの提供及び支援者への精神保健知識の提供を行った。
東日本大震災に派遣された自治体職員のメンタルヘルスの調査 東日本大震災発生時より、多くの自治体職員が派遣されている。本研究では、東日本大震災の派遣体験が、実際に派遣業務に就いた職員のメンタルヘルスに及ぼす影響について調査を行った。
子どものトラウマの効果的な心理教育ツールに関する研究 子どものトラウマへの介入において、心理教育の要素が重要であることは経験的に実証されている。本研究では、欧米ですでに出版され有効に活用されている心理教育ツールに関して文献的に考察した。
災害救援者の一般メンタルヘルスにおける職場環境の影響に関する調査研究 災害救援者が被る惨事ストレスの予防対策は地域や職種によって温度差があるものの、ここ20年で大幅に前進した。しかし、惨事ストレス対策は全般的なメンタルヘルス対策の一環でなければその効果には限界がある。本研究では、職場における望ましい状態と現実との落差は一般精神健康にどのような影響をもたらすのかを精査し、提言をまとめた。



阪神・淡路大震災が被災者のこころの健康にもたらした長期的な影響に関する研究 阪神・淡路大震災被災者のPTSDを含む精神障害の状況、援助要請、生活への影響など、被災の長期的な影響の実態を明らかにした。
東日本大震災の復興期の支援に関する研究 本研究では、自殺予防を災害復興期における重要課題の一つとして位置付け、震災後の自殺の動向に関して文献レビューを行い、国内の震災後におけるこころのケアに関する施策と合わせて検討し、災害復興期における支援体制について検討を行った。
子どものトラウマの標準的な評価方法についての研究 子どものトラウマ関連障害を適切に評価することは、治療方策を検討する上でも非常に重要なことである。本研究では、当センターですでに翻訳済みの、DSM-Ⅳ版UCLA外傷後ストレス障害インデックスの信頼性・妥当性を検証し、効果的なアセスメントのあり方について検討した。
人命救助に係る災害救援組織のハラスメントに関する調査研究 昨今、災害救援組織においても、職員の教育や通常業務での言動がハラスメントとされ、問題視されるようになってきたものの、職業文化を背景とした課題も多い。本研究では、人命救助に係る災害救援組織におけるハラスメントの実態、その影響を見極め、効果的な予防・介入のための研修プログラムを構築するために、今年度は先行研究のレビューを行った。

消防職員の業務に関連するストレスとその健康への影響:前方視的研究 4年目 本研究は、消防局に入職する新人職員を対象として、①初任科課程中に質問紙調査を行い、消防業務を体験する前の心身状態を把握し、ベースラインデータを得ること、②各消防署への配属後、さまざまな消防業務をこなす中で生じる心身への影響を毎年測定しその変化を検討すること、③心身への影響を左右する要因を検討すること、の3点を目的とする縦断的調査の4年目を計画した。その4年目にあたる。

*長期研究の研究期間は平成25年度から平成27年度とする

平成24(2012)年度  詳細は「研究テーマ」をクリックしてください。(PDFファイルです)
  研究テーマ 概 要



大規模災害発生時のこころのケア活動従事者の養成研修会の実施およびプログラム作成に関する実践的研究 大規模災害発生時にすみやかにこころのケア活動を実施するためには、事前の準備が不可欠である。本研究では、災害時のこころのケア活動従事者の養成研修会を実施し、内容の検証を行い、研修プログラムの基準を提示した。また、受講者を兵庫県こころのケアチームの人材リストに登録することで、災害時の支援システムづくりを進めた。
自殺未遂者援助における連携の重要性と課題 近年、関係機関の連携を通じて自殺予防を進める取り組みが行われているが、連携の際の課題点はこれまで十分に検討されていない。本研究では、自殺予防に関わる専門職等への調査を通じて、連携の重要性と課題点を明らかにした。
職場いじめ予防・対策のための心理社会的介入法の開発とその効果の予備的検討 先行研究として過去2年間にわたり職場いじめ実態調査を実施し、その現状を明らかにしてきた。本研究では、それらの結果を踏まえ、欧州で実践されている職場いじめ対策プログラムを参考にした職場いじめの予防・対策のための心理社会的介入法を試作し、その効果について検討した。
警察職員の業務に関するストレスとその健康への影響 警察職員は事件や事故現場など人の生命身体に直接関わる災害現場に従事し、悲惨な場面に遭遇する度合いが高い。しかし、これらの業務がどの程度、職員の心身に影響をもたらすのかはあまり調査がなされていない。本研究では、ある警察本部の職員を無作為に抽出し、業務の危険、社会的支援、警察業務に特化したストレスとその影響について測定し、職員の一般精神健康に影響をもたらす要因を抽出し、予防施策の基礎データを収集した。



風水害が被災者の心身の健康に及ぼす影響に関する研究 本研究では、平成21年台風9号(佐用水害)被災地域において、平成22、23年度に心身の健康に関する質問紙郵送調査を行った。長期研究最終年度の今年度は、過去2回の調査データおよび平成17年に実施した同様の調査の結果から、被災者への効果的な介入等について検討を行った。
遺族における心身の健康状態の評価と介入に関する研究 本研究では、外傷的出来事により死別を経験した遺族を対象に、心身の健康状態の評価を行い、臨床的特徴に応じた効果的な介入についての検討を行った。特に、今年度は、昨年度までの継続調査の知見を踏まえ、悲嘆の評価と介入に関して検証し、提言を行った。
医療現場におけるDV被害の早期発見のための包括的研究 本研究では、過去2年間に行った調査を踏まえ、今年度は県内医療機関に所属する看護師を対象にDV被害者への対応の実態について調査を行った。昨年度に行った医師への調査結果との比較に加え、医療機関でDV被害を発見することが早期支援に繋がるため、特に看護師による外来女性患者への観察力に着目し、質問紙を構成した。
消防職員の業務に関するストレスとその健康への影響:前方視的研究 消防職員が惨事ストレスを経験する中でその影響を左右する要因を明らかにするために、新人職員を対象に入職前の状態を把握し、その後、業務を通して、どのような変化が起こるかを追求した。同時に、惨事事案を体験しながらも大きな影響を受けずに職務を継続している職員の特徴を特定し、職場における予防提言を行った。  

 *長期研究の研究期間は平成22年度から平成24年度とする。

平成23(2011)年度  詳細は「研究テーマ」をクリックしてください。(PDFファイルです)
  研究テーマ 概 要



大規模災害発生時のこころのケア活動従事者の養成及び組織づくりに関する実践的研究 大規模災害発生時にすみやかにこころのケア活動を実施するためには、事前の準備が不可欠である。しかし阪神・淡路大震災からすでに17年が経過し、兵庫県における専門的人材の世代交代は進みつつある。こうした現状をふまえ、本研究では災害時のこころのケア活動従事者養成研修会を企画、開催した。受講者には兵庫県のこころのケアチーム人材リストに登録していただき、システム作りを進めた。次年度以降も継続して実施していく計画である。
自殺のハイリスク群への心理学的介入に関する研究 本研究では、自殺に影響を与える要因について、関連する文献のレビューを行った。その結果、自殺願望と自殺企図の共通点として、抑うつや絶望的認知、ストレスなどの影響が示され、相違点として、自殺企図では感情的苦痛を強く感じやすいことや衝動性の問題が生じていることであった。今回の結果から、これらの要因に焦点を合わせて具体的に傾聴することによって、より適切な共感的応答を導くことの可能性が考えられた。
職域における自殺リスクと職場内ストレスとの関連性 -職員間ハラスメントと精神的健康との関連性の実態調査- 本研究では、職員間ハラスメントの被害実態を明らかにし、職員間ハラスメントの被害経験と自殺リスクを背景とした心身の健康との関連性について調査した。職員間ハラスメントの被害をうけると心身の健康に悪影響を及ぼす危険性があることが示唆された。これは海外の先行研究を支持する結果であり、職員間ハラスメントが自殺リスク因子のひとつとなる可能性も考えられた。
東日本大震災におけるこころのケア活動の実際と地域精神保健システム再建に関する研究 東日本大震災におけるこころのケアチームの活動について、公表された支援チームの報告書などを参照して、特徴を集約した。阪神・淡路大震災との比較をしてみると、アウトリーチが当初から積極的に行われたこと、不眠や不安を訴え診断としてストレス関連障害が最も多い一方で、阪神・淡路大震災では大きな割合を占めた統合失調症の割合はあまり多くないこと、などの特徴があった。復興期のシステムとしては、阪神・淡路大震災をモデルにした、こころのケアセンターが各県に作られたが、マンパワーの確保、担う役割の検討など、直面している問題に違いがあることが指摘できる。また、新たなマンパワーの確保に関して、さまざまな工夫がなされていることを報告した。



風水害が被災者の心身の健康に及ぼす影響に関する研究 平成21年の佐用水害で家屋に浸水被害があった全世帯と、無作為抽出された浸水被害のなかった世帯を対象に、水害1年後と同様、2年後にも心身の健康に関する質問紙郵送調査を行った。床下浸水世帯や浸水被害のなかった世帯では、ほぼ平時の健康状態に戻っていると考えられた。しかし、水害後に酒量が増加している場合などでは、まだ水害の影響が強く残っている可能性も考えられた。床上浸水以上の被害を受けた世帯でも全体的な軽快傾向が認められたが、気分障害や不安障害、PTSD(外傷後ストレス障害)の可能性が高いと判断される割合が十分に低下するまでには、もう少し時間がかかると考えられた。
遺族における心身の健康状態の評価と介入に関する研究 阪神・淡路大震災により家族を喪った遺族を対象に、①悲嘆を測定する尺度の妥当性・信頼性の検討と、②心身の健康状態を中心に遺族の臨床的特徴を把握し、より効果的な遺族ケアを考えていくために必要な基礎データを得ることを目的に継続調査を実施した。今年度は面接調査を行い、主に面接対象者から得られた意見を提示した。今後も悲嘆の評価と介入に関する検討を行う。
医療現場におけるDV被害の早期発見のための包括的研究 昨年度に行った、DV被害女性へのインタビュー調査に基づいて、医療機関におけるDV対応の実態について、医師を対象に質問紙調査を行った。1,160機関1,361名に対して調査票を郵送し、そのうち臨床場面においてDV被害者と遭遇した経験があると答えたのは46名(29.7%)であった。DV被害者の行動や心理に関しての理解度は比較的高かったが、一方で研修を受けた経験の少なさや外的資源の情報不足が目立つ結果となった。
消防職員の業務に関するストレスとその健康への影響:前方視的研究 消防局に入職する新人職員を対象として、消防業務を体験する前の心身状態を初任科課程中から把握し、様々な消防業務をこなす中で生じる心身への影響を毎年測定しその変化と、心身への影響を左右する要因を検討する。本年は3年研究の2年目にあたり、職場における作業負荷や社会的支援など業務関係の項目を追加し、仕事の満足度等が一般精神健康や業務ストレスの尺度結果に与える影響を分析した。今後も経年での変化を追跡し、影響を受けにくい職員の特徴を見極める。

 *長期研究の研究期間は平成22年度から平成24年度とする。

平成22(2010)年度  詳細は「研究テーマ」をクリックしてください。(PDFファイルです)
  研究テーマ 概 要



災害や大事故被災集団への復興回復期における支援のあり方に関する研究 本研究では、 当センターが2009年3月に日本語版を公開した「サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き第2版;PFA」を提供したあとの復興回復期に用いることの.できる心理的支援マニュアル、「Skills for Psychological Recovery Field Operations Guide;SPR」の日本語版作成を行った。SPRは、困難や問題に対処するためのスキルを教えることで、被災者の回復を促進することを目的としている。 (本冊子もPFAと同じく、当センターウェブサイトにて公開)
地域の特性を考慮した自殺予防対策立案に関する研究 自殺予防対策を推進する際に市町村行政で活用できる報告書を作成した。その中で、各市町村の基礎資料となる兵庫県下の自殺に絡む実態と講じるべき予防対策の方向性を検討し、自殺対策の推進に向けての今後の提言を行った。なお、自殺予防対策の一つとして、自殺企図入院患者への介入研究を実施し、その結果を報告書に盛り込んだ。(報告書タイトル「人/地域/社会がつながるために-兵庫県自殺対策の推進に向けて-)
職場におけるハラスメント行為の認識についての意識調査 本研究は、職場におけるハラスメント行為の予防と対策の基礎研究として、ハラスメント行為の認識についての意識調査を実施した。まず、職場で起こり得るハラスメント行為に対する認識の程度を測定する質問紙の開発を行った。次に、県下の一般企業の従業員を対象とし、意識調査を実施した。調査では属性や労働環境との関連性について検討し、ハラスメント行為の認識に及ぼす影響について考察した。
被災時のこころのケアに関する地域支援活動従事者の養成及び活用方策に関する実践的研究 本研究では、県内の関係機関と人材養成プログラムを作成するとともに、派遣時のコーディネート体制を構築し、効率的に初期活動が提供できるように考察した。厚生労働省のガイドライン、災害派遣医療チーム(DMAT) の教育プログラム及び米国で開発されたサイコロジカルファーストエイド(PFA)等を参照し、災害後早期のこころのケア活動に必要な知識を得るための研修プログラムを提案した。 また、過去の事案の検証を行い、災害発生時に迅速・有機的に当該養成者を現地に派遣することができる体制構築方策について提言を行った。



風水害が被災者の心身の健康に及ぼす影響に関する研究 平成21年台風9号で大きな被害が生じた佐用町で、被災から1年後、地域の精神保健活動と共同で、被災地域住民の心身の健康状態に関する郵送調査を行った。その結果、床上浸水以上の被害があった群では、被災時の体験によるストレスだけでなく、その後の経済的負担など二次的ストレスも大きく、心の健康状態が悪化している被災者の割合が高かった。アルコール問題にも注目する必要があると考えられた。
遺族における心身の健康状態の評価と介入に関する研究 本研究では昨年度に引き続いて、阪神・淡路大震災により家族を喪った遺族に対して、①悲嘆を測定する尺度の妥当性と信頼性の検討、②心身の健康状態を中心に遺族の臨床的特徴を把握し、より効果的な遺族ケアを考えていくための必要な基礎データを得ること、の2点を目的に継続調査を行った。その結果、昨年度と同様におよそ半数に心理的影響が認められ、改めて長期的視点を持った遺族ケアの重要性が示された。今後も悲嘆尺度の開発に向けた面接調査を継続する。
医療現場におけるDV被害の早期発見のための包括的研究 医療機関におけるDV被害に関する対応の課題と現状を把握するため、被害女性を対象に構造化面接を行った。調査結果より、被害女性には“医療機関はけがの処置をする場”という意識が強く、支援機関としての機能は乏しい現状が浮き彫りになったが、一方で具体的支援と精神的支援の必要性を認識しており、これら二つの支援を提供することができれば、医療機関は治療する場としてだけではなく、支援機関としての機能も果たしうることも分かった。
消防職員の業務に関するストレスとその健康への影響:前方視的研究 消防局に入職する新人職員を対象として、消防業務を体験する前の心身状態を初任科課程中から把握し、様々な消防業務をこなす中で生じる心身への影響を毎年測定しその変化と、心身への影響を左右する要因を検討する。本年は3年研究の1年目にあたり、ベースライン結果を報告した。

 *長期研究の研究期間は平成22年度から平成24年度とする。

平成21(2009)年度  詳細は「研究テーマ」をクリックしてください。(PDFファイルです)
  研究テーマ 概 要



災害後の精神保健活動のあり方に関するコンセンサス形成に向けた研究 災害精神保健活動に関する方針や概念の変遷を確認しながら、現場における具体的問題を題材に、「こころのケア」のあり方について検討した。災害精神保健活動の基本方針のなかでもっとも重要なものは害を与えないことであり、支援活動が被災者・被災地に負担を与えている可能性はないか、常に批判的に検証することが必要である。こうした観点から、スクリーニング・アセスメント・アンケートをめぐる問題と、外部からの支援者の役割について検討した。その他、前年度に引き続き、「サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き第2版;PFA」の普及・啓発活動に努めた。
複雑性悲嘆尺度による遺族の心理アセスメントに関する研究 本研究では、複雑性悲嘆の概念や評価法について最近の動向を概観し、複雑性悲嘆尺度による心理アセスメントについて検討した。さらに、阪神・淡路大震災により家族を喪った遺族を対象に調査・分析を行った。そして、悲嘆尺度の妥当性・信頼性の検証を行い、心身の健康状態の結果から支援のあり方について検討した。
配偶者等からの暴力被害の実態・相談等に関する研究 DV被害や相談の実態を把握し、被害者のQOLや心身の健康への影響などを検討するため、一般女性を対象にDV被害の実態及び相談に関する疫学的調査を実施した。DVに関する認識度、被害経験の実態について尋ねたほか、生活機能に関する影響、心身の健康状態への影響、DV被害女性の援助要請行動を検討し、暴力を受けた女性の支援を考えていくための基礎データを得た。
福祉担当者の業務に関連するストレスとその健康への影響 近年、児童虐待の増加により、子ども家庭センターなどの社会福祉機関の業務は増加傾向にある。そこで、本研究では社会福祉業務を担当する職員を対象に職務ストレスやメンタルヘルスの調査を実施した。そして職務が心身の健康にどのような影響をもたらしているかを検討し予防策を提言した。



自殺の実態に基づく予防対策の推進に関する研究-自死遺族の健康状態の把握とその支援- 兵庫県監察医務室で死体検案書が発行される際に自死遺族に声かけを行い、同意の得られた遺族に対して後日、電話連絡と調査票郵送による健康調査を行った。個別の自死遺族の精神健康状態の幅広さとともに、自殺という事象の外傷度の高さと、自死遺族を地域精神保健における支援の対象と認識し、状態によっては医療などへの導入を考慮する必要性が確認された。今回の取り組みから、死体検案を行う医師を介して、あるいは監察医務業務の場において自死遺族にアプローチする方法は、支援を必要とする自死遺族により確実にケアを届け、そのような機会を積極的に提供していくための方法のひとつとして、実際的であることが示された。
大規模交通災害による負傷者の健康被害に関する前方視的研究 JR福知山線脱線事故の負傷者に協力を依頼し、心身の健康上の問題や生活の質などについて、前方視的に3年間(事故後18ケ月目、30ケ月目、42ケ月目)の調査を行った。今年度は、3年間の調査結果を比較検討し、調査協力者に遷延している心身の問題や回復の現状について考察した。
高齢者虐待の予防と早期発見及び介入のための総合的実態調査 地域包括支援センター職員のような対人援助業務は援助者自身の心身の健康状態が職務に影響するといわれている。そこで本研究では職業性ストレスやストレス緩衝資源等の職場要因と職務への態度との関連について調査し、心身の健康と離職予防について検討を行った。
看護職員の業務に係わるストレスに関する研究 看護職員を対象に職場で被る惨事ストレスとその影響、特に患者の死が看護師にもたらす影響と援助介入についてアンケート調査を行った。データを分析したところ、少なからず影響を受けている職員が見られた。この3年間の調査結果を踏まえ、職務ストレスの予防策の提言を行った。

 *長期研究の研究期間は平成19年度から平成21年度とする。

研究成果

●子どものこころのケア

子どものトラウマ(心的外傷)についての資料を集めました。
こちらへ

●自殺を考えている人の心を支えるために

自殺を考えている人の気持ちをしっかりと受け止め支えることができるように冊子を作成しました。
こちらへ

●第15回日本トラウマティック・ストレス学会で学会奨励賞受賞

福井貴子主任研究員が、第15回日本トラウマティック・ストレス学会で平成27年度「災害時のこころのケア活動を有機的に実施するためのDPAT研修カリキュラムのあり方についての研究」の研究成果を発表し、学会奨励賞『最優秀演題賞』を受賞しました。
発表ポスターはこちら
研究報告書はこちら

研究紀要

本センターが年度毎に発行している研究紀要「心的トラウマ研究」をご紹介します。

平成28年度

平成27年度



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